初期研修の段階から心臓血管外科に進むことは決めていて、手技においても多くの件数や種類を経験したいという思いが強くありました。千葉西総合病院は循環器科が強く、心臓外科も充実していて症例数もとにかく多いです。他と比べても、一番自分の希望が叶う病院だと感じ、当院を志望しました。

心臓はあたりまえですが全身の血管がつながっていますので、心臓だけでなく、全身の疾患を診療できるようになる必要があります。初期研修期間は心臓以外の勉強に重点を置きたかったので、心臓の専門病院ではなく総合病院を志望していました。

当院の一般外科研修では、基本的な手技や理論をしっかり学ぶことができ、自分の関心があった領域も網羅することができました。患者さんの数が多い分、日々の忙しさはあったものの、全く苦に感じることはありませんでした。
5年前に入職した同期は、私を含め4名が残っていて、いまだに仲も良くコンサルトしやすいです。循環器科と消化器内科に同期がおりますが、私とも関わりの深い診療科ですので、相談をすることも多く非常に助かっています。

心臓血管外科のチームの雰囲気は非常に良好です。現在は12名の体制で診療にあたっています。私と同年代の医師も多く、お互いに高め合える環境です。
指導医の先生方は非常に熱心で、手術の際は基本的には厳しく、手厚く指導をしてくださいます。中村喜次先生は技術も経歴も素晴らしい医師なのですが、仕事中やプライベートでもフランクな態度で接してくださいます。指導は厳しいこともありますが、常に患者さんファーストで考えていることがよくわかります。何でも相談のしやすい上司です。

当科では論文執筆や学会活動にも注力しています。中村先生は私たちの論文にすべて目を通してくださって、フィードバックをくださるので、多忙な中でもとても恵まれた環境だと感じています。
今年に入ってからは、二本の論文を執筆しました。最初の論文はアクセプトまで時間がかかりましたが、次第に自分の中で書き方やアプローチが理解できるようになり、二本目の論文は比較的スムーズに通ることができました。
手術がうまいかどうかは、身近な人にしか評価ができません。臨床の成果を論文として残すことで、どのような医師でどのような治療をしたのか、他の人が評価することができるのです。心臓血管外科医として、やはり手技の腕前は不可欠ですが、論文を書くことや学会発表も実績の一環となっています。

私の憧れの医師像は、やはり中村先生です。手術の腕前も高いですし、学術活動も素晴らしいです。先生のストイックさは真似できるものではないですが、その情熱には感銘を受けます。
中村先生の手術は、スムーズで焦りを感じない流れがあります。「等速直線運動」とでも言えばよいのか、決して急がずに、気付いたら手術が終わっているという感覚です。その手術のテクニックと心の余裕は、これから習得していきたいスキルの一つです。
また、先生は手術以外の時間は学術活動を熱心にされていて、その理由としても「手術件数が多いからには、その成果や経験を他の施設と共有するために世に出す責任がある」と言われており、なかなか思っていても真似できない姿勢だと感じています。
尊敬する医師が近くにいる環境は、本当に恵まれていると感じます。当科の医師は皆手術が上手で、スペシャリストの手技を間近で見ることができるのも、貴重な経験となっています。各医師の手術スタイルを学ぶことができ、バリエーションも豊富で日々勉強させてもらっています。

正直に言うと、千葉西総合病院は忙しい病院です。その忙しさに耐えられる人でないと、厳しいかもしれません。当直以外で家に帰れないような状況はありませんが、症例数や当直の回数などは比較的多めです。その点を踏まえつつ、覚悟を持って挑戦する姿勢が大事だと思います。しかし、得られる経験値に関しては目を見張るものがあることは間違いありません。
また、総合病院ですが他科との垣根も比較的低いと感じます。たとえば「この人はしっかり頑張っているから、自分もちゃんと見てあげよう」といった、同僚がお互いに助け合い、成長を支える風潮がどの診療科にもあります。経験値を積みたい人にはおすすめしたい病院だと胸を張って言えます。